- 作者: 柚木麻子
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2013/04/17
- メディア: 単行本
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以下ネタバレを含みます.
表題作の第1話も楽しく読めたのですが,第2話に登場し,せっせと売り出している「東京ポトフ」のほうが,うまいことできてるなあと感じました.客層に応じて「西洋おでん」の名前で提供しているほか,登場人物が大きく異なる第3話・第4話にも,東京ポトフの名前がちょい見せで出てきます.
時間の経過に伴う,人のつながりという点でも,驚かされました.第1話で,澤田三智子が古書店へのおつかいを指示され,行った先の店主,笹山隆一郎が,p.26の次のどこに現れるかというと,第2話のp.57で,1枚めくると,2人が古書店の2階で同棲しているというのです.
これは一つの見方かもしれませんが,このくだりによって,読者は三智子と一心同体になるというよりは,少し距離を置いて応援する立場となることを促しているように思えました.
さて自分も,人のつながり,モノ(とくに情報)のつながりをサポートしていくことにしますか.自己研鑽と,おいしいものを食べるのを怠らずに.