わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

関係代名詞の省略は中3で習う,4歳たらずの子も使う

無印の『日本人の英語』は,去年だったか今年だったか,読んだはずですが,あいにく手元に見当たりません.上のページを順に読んでいきました.
最後のところで,これってあれじゃないかと気づきました.

とは言え『無印』からもう一か所引用。これも誰かから教えてもらわなければ、多読により自得するのは不可能に近い困難だと思う。

文脈によって,センテンスを簡潔にするために関係節から関係代名詞自体を省略する場合もある.そうすると,淀みなく流れる,非常に読みやすい文章になるケースもよくあるので,文脈の許すかぎり,薦めたいと思う.ただし,これは制限用法の場合だけである.非制限用法の関係代名詞はふつう省略されない.たとえば,
The article which I read yesterday was quite instructive.(私が昨日読んだ論文はかなり勉強になった)
という文章を,
The article I read yesterday was quite instructive.
にしても差し支えないが,
The article, which I read yesterday, was quite instructive.
の “which” は省略できない.

(『無印』P126)
わかるかーっ!ヽ(`Д´#)ノ

引用の中の引用の中の2番目の文,"The article I read yesterday was quite instructive."を見て,思い浮かぶ文法用語は,「接触節」です.
東京書籍のサイトにQ&Aがあります.

回答の最初は,「後置修飾の指導の流れで,より単純な形から導入できるようにするためです。」とあります.後置修飾として,前置詞句によるもの,不定詞によるもの,現在分詞・過去分詞によるものを既習とし,「節(主語+動詞)」による後置修飾として,接触節と関係代名詞節を---別個に---学習する,とのことです.
もう少し探すと,紀要がヒットしました.

無料で論文PDFをダウンロードできます.抄録に(もちろん本文にも)書かれていますが,「接触節は古くからある英語であり,それを必ずしも関係代名詞の省略とは見ない」という考え方があります.文献として,Jespersen (1927)が挙げられています.
小寺(2004)を読んだ上で書いたと思われるブログ記事に,接触節って何? | 学校で教えて欲しかった、こんな英文法! - 楽天ブログがあります.そこでは,文法の話を述べるだけでなく,もうすぐ4歳になるという息子さんが,"the toy I was talking about", "the book I want to read", "the shark I like most"といった接触節を使い始めていると,指摘しています.
小寺(2004)の抄録には,「接触節をなしている部分の語数については2-4語」とありますが,「『無印』P126」の"I read yesterday"も,息子さんの"I was talking about", "I want to read", "I like most"も,4語で収まっています.
抄録ばかりでなく,本文も見ていきますと…"The bronde I'd been dancing with's name was Bernice something"には,驚きです.The Catcher in the Rye(ライ麦畑でつかまえて)に出てくる表現とのことで,検索すればその前後も読むことができました."The name of the bronde with whom I had been dancing was ..."といった書き換えは,野暮ってことですね.
英語は奥が深いです.RFC 1958の「送信は厳格に,受信は寛容に」を肝に銘じて,論文を読んだり書いたりしていくことにします.


関係代名詞・接触節で,昔書いたこと: