わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

小数点以下の数字の扱いについて

はじめに,関連情報を並べておきます.


といったところで問題です.

筆算でしましょう.

  • 5.84+4.56=

さっそくですが解答です.筆算は,小学校で教えられているやり方によると,次のようになります(『小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』p.20).


たし算の結果,小数第2位は「0」になりますが,斜線を引いて消します.一の位の「0」は,消してはいけません.ということで,5.84+4.56=10.4です.
続いてですが問題です.

次の計算をしましょう.

  • 6+0.5×2

引き続きまして解答です.こういうときは,かけ算を,たし算より先に計算します.なので6+0.5×2=6+1=7として求めます.
ここで0.5×2を筆算すると,「1.0」が得られます.もちろんここでも,小数点以下は不要*1であり,「1」のみとします.6+0.5×2=6+1.0=7.0=7という書き方をする人,支持する人は,見かけません.
こちらの元ネタは,平成19年度全国学力・学習状況調査http://www.nier.go.jp/tyousa/tyousa.htm)算数A 大問1 (7)です.


東京書籍のQ&A(問題文の抜粋は,《「1.2+2.8」の筆算において,答え4.0の「0」のみを斜線で消し,小数点は残したままにしている理由を教えてください》)を以前から知っていた*2ので,この件で不正解や減点にするのは,「教員や学校の裁量」だろうなと理解していました.
国学力テストでは,そのものずばりではないものの,上記のとおり0.5×2は1なのだから,1.0とする必要がない(小数点つきだと字数が多くなってしまう)という事例を見つけまして,これはちょっと面白いなと思いました.
「9.0と9,答えは同じ」なのを認めるとして,使いどころを,「同じなんだから減点はおかしい」に代表されるネット上の批判と,別のところに,考えてみるわけです.複雑な計算において,9.0(または9.00,9.000,…)が途中で出たとき,すぐ「9」に置き換えればいいのです.
このような「小数点以下の数字の扱い」は,複雑な計算を扱うより前,小数のたし算・ひき算・かけ算を学ぶ時点から,配慮しておきたいものです.
関連のリストを作るにあたり,算数教科書6社のWebページを見ましたが,このようにQ&A形式で書いているのは東京書籍のみでした*3日本文教出版では,https://www.nichibun-g.co.jp/textbooks/sansu/よりアクセスできる「評価テスト例」の3年下に「3.7+5.3」の筆算(正解は「9」のみ)が,4年下に「23.5×4」の筆算(同「94」)が,それぞれ見られます.

冒頭の出題のように,答えを書く欄と,筆算をする箇所とを分けておき,筆算の結果は「10.40」とし---斜線をするか否か,するなら左上から右下か,右上から左下か,どっちでもいいのかで煩わされることなく---,答えとして書く際には,有効数字を問うものではないから「10.4」とすればよい,という出題・解答の流れが,軋轢を減らしてくれそうに思うのですがどうでしょうか.

*1:6+0.5×2=(6+0.5)×2=6.5×2=13とする典型的な誤答においても,かけ算の結果,小数点以下が不要になる状況が発生します.

*2:むしろ「小数点は残したまま」のほうが,印象に残っていました.C言語では4は4.0や4.とは違うんだよなと,初めて見たとき思ったものです.

*3:Q&Aを設けている大日本図書の「算数:よくある質問」https://www.dainippon-tosho.co.jp/sansu/faq.htmlについては,最初の質問が「それかよ!」と思わずにはいられません.