大学発のバスになんとか座れて,30分ほどで,終点のJR和歌山駅に到着しました.
市役所前・公園前といった,駅に比較的近いバス停から乗った人もあり,車内は混雑していました.
ともあれバスカードを手に,運賃箱のある車内前方へ…
次の次が自分の番だというときに,男性客が,まごついていました.
運転士さんが,乗ったバス停を聞き,じゃあ280円だというと,その客は両替機に百円玉を入れました.小銭を多く,手に持っています.運転士さんが,支払いはこちらですよと,運賃箱を指し示すと,その客は,持っている小銭を無造作に,運賃箱へ入れていきました.
投入するところの少し先には,小型の液晶ディスプレイがありまして,主に運転士さん向けですが,自分も見ることができます.そこで投入金額の表示が,100円,110円,320円,820円,870円と上昇していきました.
そこで運転士さんがストップをかけました.「何人分?」「……」「ひとり?」「はい」「あとで返金するから.ちょっとそっちに座っといて」
今回の路線を含め,和歌山バスの路線バスで,運賃が1人で800円を超えることはありません.ただし「大人2人」「大人と子ども1人ずつ」といった支払い方法はときどきあり,その際には運賃の投入の前に,運転士さんが機械を操作するのが一般的です.そして運賃箱にいったん投入すると,お釣りは出ません.車内アナウンスも,なされています.
自分の前の人は定期券を見せ,自分はバスカードを通して受け取り,バスを降りましたが…
ほんのちょっとのこととはいえ,運転士さんや不慣れな男性客を含め,それぞれの人の時間をとられてストレスが募り,残念な出来事でした.
お釣りが出るようにすればいいのでは,他社のようにICカードを使えればいいのに,といった思いがよぎってから,学校のエアコンの設置と同じく,解決は容易でないなと考えるようになりました.
バスのすべての機械を変更するのは費用や工期が相当なものですし,インタフェースが変わったら変わったで,それに起因するトラブルも起こり得ます.以前,バスの後方,乗り口を上がってすぐにバスカードを入れるところで,誰かがICOCAを力づくで差し込み,半分まで入れたところで,先に入れることも,取り戻すこともできなくなったのを,見たことがあります.
無力感にさいなまれたまま,カードを定期券に切り替えてJRの改札をくぐり,地下道を通って9番乗り場へ.貴志川線でも,座ることができました.