わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

これ,あんたのやで

その1(2015年10月)

体育の日に → 運動会 → うえの子が → 小学校に入って初めての運動会 → 家族総出で見に行く → そして堺在住の → 実家の母も → 見に来るとのことで → 和歌山市駅まで車でお迎え → そんなこんなで小学校に到着 → 母は → 孫の一人ひとりに → 紙袋を手渡す → うえの子には → これでしっかり勉強しいや → と → 文房具だろうな → 未就学の残りの子には → 遊びや → と → おもちゃだろうか → ここで予想外だったのは → 自分にも紙袋 → これ,あんたのやで → と → 爪切りな → 自分で切るんやで → を添えて → 予想外の贈り物に戸惑いながら → ありがとうと小声で言って受け取り → いったんズボンのポケットに入れる → 子らへのプレゼントは → 回収してビニール袋に → 自分がもらったのも一緒に入れる → そんなこんなで運動会 → あっという間に昼食休憩 → お弁当を食べ → 午後の部の → うえの子のダンスを見たところで → 母は仕事があるからと先に帰る → 送迎不要とのこと → ほなまた → ふう → シートに腰を下ろして → 靴下の中の → 足の爪が気になってきた → 前に → 足の爪を切ったのは2か月前 → 場所は実家 → 切ったのはあの母 → 母と自分と子らとで → 近所のプールに行き → 爪が伸びているのを見とがめられた → その爪 → そのままにしてたら → あんたそのうち死ぬで → すごい言いよう → ともあれ実家で → 言われるままに → 靴下を脱ぎ足を伸ばす → 母は特製の爪切りを持ち出し → nail clipperではなく → ハサミだあれは → 目を輝かせて切っていく → あっという間に → 親指の爪は半分に → 他の爪も → 血を出すことなく切っていく → シートに腰を下ろす自分に話を戻して → ビニール袋から → 爪切りの紙袋を見つけ → 中身を取りだしてみると → 収納された入れ物に → 「クラフト手芸鋏」の文字 → 製品情報 → なんてこったい → 俺の爪は手芸かよ → われにかえって → いやいやこれで → 切れればいいんだ → 親指の伸びたところを → パッチンしてみると → 見事に切れて → 切れた爪が隣のシートに飛んで行く → お隣さん → 誰もいないのが不幸中の幸い → 爪を回収し → 爪切りも袋にしまう

その2(2018年8月)

子らの夏休みに → 母よりおいでとお誘い → 都合をつけて → 妻子を乗せて車で出発 → 集合は → 堺の実家ではなく → 河内長野駅 → 午前中は → 金剛山の麓の鱒釣り → 釣ったのを食べ → お腹いっぱいになったところで → いったん実家に立ち寄り → 物品を車に積んで → 市内を少し走る → 大泉緑地 → と書いて「だいせんりょくち」ではなく「おおいずみりょくち」と言うんだけど → そこから道路を挟んで南 → のびやか健康館 → 以前に来たこともある → 室内プールとスパが使えるところ → 駐車場に停め → 全員が車から出てきて → 誰が何を持つか → あれこれやっていると → これ,あんたのやで → と,母 → エコバッグを受け取る → 中が不自然に大きい → 指を当てると → プラスチックか → 軽く指で叩く → こんこん → プラスチックらしき反応 → 中に何が入っているのか → こちらが口を開ける前に → 母が言いだす → 洗面器にな → シャンプーと,石けんも入れてるから → タオルとバスタオルもな → なんと → あらかじめ用意してから → 河内長野まで行き → 実家で積み込んだってことか → 母は続ける → ここのお風呂 → 石けんなかってん → いやいや → スパに石けんやシャンプーがないわけないだろ → と言い返すこともできず → 館内へ → 大人・子ども・シニアの種別に注意しながら → 料金を払って切符を受け取り → 入口を通るまでは → みんないっしょ → 男女に分かれるところの前で → じゃあと言ってからは → 単独行動 → 更衣室へ → エコバッグのチャックを開けると → 言っていたとおりの一式 → 洗面器の製品情報(イメージ)→ 自宅から持参した水着に着替えて → 衣類と → エコバッグを → ロッカーに入れて鍵をかけ → 洗面器を抱え → 乗っているものを落とさないようにしながら → プールとスパのほうへ → そしてプールとスパの分岐の手前 → その右に → 開放された棚 → タオルや小物を置くための棚 → 縦横に分かれていて → 4段×10列くらい → ここに自分は → 洗面器を置いておけばいいんだな → 最上段に → 洗面器の一式を置くと → 直視するのは → 母のフルネーム → 洗面器の側面に → 油性ペンで書かれた → 母のフルネーム → なんてこったい → 男性しか入らないスペースに → この氏名かよ → 深呼吸し → 周囲を見渡して → 誰もいないのが不幸中の幸い → 洗面器を180度回転させる → 母のフルネームは → 見えなくなった → 向こうから見える → なんてことはないつくりになっている → やっとプールサイドへ → みんなも来た → プールに1時間 → ふたたびじゃあねと言い → スパに10分 → リンスインシャンプーとボディソープのボトルが利用可能 → 石けんが必要なのは → 更衣室のそばの → シャワールームだな → 入口で合流して → 車に乗り込み → 実家に行くまで → 2列目に座る母に → 洗面器の側面 → 母のフルネームのことを話す → 返ってくるのは → そうやねん私 → いろんなものに自分の名前書いてんねん → たしかにそのとおり → こっちがびっくりしたのは → それを → 「これ,あんたのやで」 → と言って渡すことなんだが → 母は続ける → それでな → 連絡先を書いてあったおかげで → 落としたと思ったのんが → 兄貴のところに連絡が行って → 戻ってきたこともあってん → それはよかった → なんでハッピーエンドじゃないんだろう → なんで母自身のところに連絡が行かなかったんだろう