わさっきhb

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暗号解読

 今年度の科目(ネットワークセキュリティ)の,単一換字暗号の解読問題について,受講者向けの解答・解説の公開も,採点も終わったので,かいつまんで紹介します.
 まずは暗号文です.

UPHUDEIHJCIVCHYGPACWPPVVCUEIEJCIVCHIEIPXPBCPIJCIUCHFEGEIJHGQ
JCIVCHIEUEVEIHVQHVCLPAEJHBEEGHGEIWPHVEUHVCXEQUPVQXPGPLPJQUQU
CRQGHVDWHJDQVQUDPDPXCIXDQQUDPLPUEIEXEQHWPPVPGHAPCUQWHVCUEGCI
HDEVVCUDEQJHGQUHXPXQIHXHBQXPIPHLHVEAEHGQXPAEUHGCIPHVPLEQNQIX
PLPUEIEDEQIPNQIACHIEUCHDPXQFEQXCIPHUEUHVCLPRXCGIEHGQUCXPHAEU
EXEBPJCIVCHVEHQWPHICIWPQUQXQYGPACFEGXFEPVPCVCAEUQWQIHYGPACIE
UEVEFEVQXPEQVEUQGQXCXXPVEUHVCVPCJQJCIVCHFEXQVQWPCUQUEIJPHBPL
HGQWPCVVCFPVPUHVPVHIEWCIJHVQIEUCXPHLPBEQXPLEVEIBEWPLQVEQUHXH
VEUEIELDEQLEIXQQXPIBPNQIACHVENQIXPIEGDEQLEQIECHXDEQFEQXCVCHG
QFPGCFPGCLPJHUDEQBPXCBCIPXQDEJHUDEQIHUEIPCIPXCGCNPIPGPIPHIPJ
CIPGPLPRXCGLPUEIEDEJHUDEQFEEXEUQXEVEDPPVQXPQXEVEIHIPGCVCHGQU
HUEGCWPAEXQVCXHBPXPGPBP

 平文(解読結果)は割愛します.原文はハッカーとセキュリティ技術者は「文明」と「文化」ぐらい異なる - THE ZERO/ONEの,以下のところです.

最初に前提(フレーム)があって、その前提の中で安全性を論じる。前提の外については、文字通り「論」「外」として考察から外す。セキュリティ技術者や研究者は、その行為があたりまえすぎて、それによって生じる死角に気づかない人もいるかもしれない。
 他方「文化」は、そのような文明の制約を受けない。そしてハッカーのいる世界もそこだ。前提という概念が薄く、フレームワークを与えても、すぐにフレームの外を使おうとする。結果として、たえず前提をくつがえす存在だ。
 ひるがえって、私たちの現実の世界はどうか。ほとんどが不等式とその標本空間だ。文明と文化の両方の影響を受けている。我々は「事象」だけでなく「余事象」に備えなければならない、なぜならハッカーはその余事象を起こすことや扱うことに慣れているし、それが目的だからだ。

 原文(ローマ字にする前の日本語の文章)のローマ字処理にあたり,カタカナ書きの語をどうするかは,少し悩んだのですが,今年度は,英単語に置き換えた上で,出題時のヒントに「原文でカタカナ書きの語は,英単語("security", "hacker"など)に置き換えて,平文に入れています.」と記載しました.
 実際には"security"が1回*1と"hacker"が2回,そのほか"frame"と"framework"も出現します.ローマ字は訓令式に近いものであることも,出題時に指示していて,そうなると「c」や「f」は,日本語ではなく英単語の中のみです.そこでcに対応する,暗号文の文字を特定できれば,前後の文字も推定できて解読作業がスムーズになるのでした.
 平文の文字にj,l,p,q,v,xが現れません.jを使わないのは,意図したものですが,pの文字,言い換えると原文に「ぱぴぷぺぽ」の音が出て来ないのは,たまたまと思っています.

*1:「最初に前提(フレーム)があって」の前に,原文では「セキュリティの議論についても同じ傾向がある。」とあります.過去の解読問題にも「セキュリティ」から始まるものがあり,このことが解読に利用されやすいことを思い出し,入れないことにしました.