「ただいま…」
「パパ,おかえりっ!」
「お前ら…さきの子と,すえの子か.座布団敷いて,その上で何しとんの?」
「うで立てふせ,してるの!」
「さきの子ちゃんのまねして,やってるの!」
「んん…ちゃあんと,腕,曲げられるか?」
「やってみるで! …どう,パパ!?」
「おいおい…腕がほとんど曲がってへんし,体も動いてないがな」
「え…けどこれ,しんどいなあ」
「まあ,日常せえへん運動やもんな…パパがやってみるで」
「パパできるの?」
「両手を,肩幅より少し広めに置いて…いくぞ,1回! もう1回!」
「あっ,あっ,パパすごぉい!」
「う~ん,ここまでやな」
「パパってそんな体でこんなんできるの!?」
「できる回数は,少ななったけど,腕立て伏せで何をせなあかんかは,分かってるからな」
「どういうこと?」
「胸をな,床ぎりぎりまで降ろすねん.床に触れてもええけど,体がべちゃあってなったら,あかんねんで」
「べちゃあって,パパおもろい!」
「….そういう姿勢になるよう,腕を曲げるんな.それから腕を伸ばして,体を持ち上げる,っちゅうこと」
「へえ」
「けどあたし,うまいことできやん…」
「そらいきなり,2本の腕と,つま先だけで,体を支えて,そっから腕を曲げて伸ばしてって,むつかしいんやで.まずは,膝を床につけて,腕立てしてみな.その場合でも足首は曲げて,つま先は床,な」
「やってみるぅ…これでも,むずかしいんやけど」
「ま,練習としてはそこからかな.お前らが筋肉ムキムキになっても,パパ困るし」
「そんなんならへんわ!」
「せやな.健康のために,毎日ちょっとちょっとずつ,体を動かすのは,大事やぞ」
「うち,ふっきんやったら30回できるで!」
「そらええな.パパ1回もでけへんから」
「パパもやったらええやん!」
「得手不得手,ちゅうこっちゃ」