「晩ごはんやな,いただきますしよか…」
「うちもう食べてるで!」
「うーん,ママと,あとの子と,すえの子が,おらんのか」
「そ.歯医者さんやて」
「ほいで,いつもはすえの子が座るところに,今日はうえの子か」
「おかず食べたら,となりの部屋に行くよ~」
「ま,白ご飯も食たほうがええと思うが」
「パパ,思い出した,今からいう英語,わかる?」
「英語か?」
「アイ・ゲットアップ・アットシックス・エヴリモーニング」
「ほお,そういう文もすでに習うねんな.日本語にするなら,私は毎朝6時に起きます,やな」
「わかるん?」
「そら,単語が分割されて,聞き取りやすかったからなあ…」
「よっしゃ,パパのほうから,英語を言うてみるからな.聞き取ってや…」
「…」
「…」
「揚げ豆腐!」
「え,パパ,いま,『あげどうふ』って言った!?」
さきの子は,英語というのに「揚げ豆腐」だったのが,予想外だったようで,イスから離れて,床の上でのたうち回りました.
「立派な英語やで.アイ・ゲット・オフをな,英会話で言うときには,『アゲドウフ』になるねん.バスなんかで,私は降ります,っちゅう意味な」
「お前ら向けのネタやな.もし,あとの子が聞いてたら,パパ何言ってんのの表情やで」
「わかるわかる!」
「すえの子ちゃんは?」
「あの子は,軽く笑ってから,『じゃあパパ,さげどうふはあるの?』とか質問してくるかなあ」