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興奮した子どもの身体の抑え方

 読み進めていくと,p.96で「興奮した子どもの身体の抑え方」が小見出しになっていました.書き出します.

 その子の身体を一時的に押さえて、本人の気持ちの昂ぶりを鎮めなければならないこともあります。その場合は、教師自身も傷つかず、その子のことも傷つけない抑え方を用います。
 以下に紹介するのは、「護道」という武術の使い手であり福祉分野でも活躍されている廣木道心氏が提案されている「支援介助法」です。以下、私の経験則も交えつつおおよその手順をまとめます。
①正面から近づくと蹴られてしまうことがあるので、子どもの斜め後ろから入ります。腕を下げさせながら、背中側に回り込みます。
②子どもの両脇から手を入れ、仙骨(おしりの上にあるでっぱり)を抑えながらゆっくり座ります。教師の顎が近いと子どもの背面への頭突きをくらうことがあるので気を付けます。
③子どもの膝を伸ばし、長座にします。暴れている間は、子どもの動きに合わせて力を加えたり抜いたりします。もたれかかってきたら、子どものお腹の上に手を置きます。落ち着くまでは不用意に声をかけないようにするというのもポイントです。
 大切なのは、本人の「想い」です。想いを無視した技の行使は「暴力゠*1マルトリートメント」になってしまいます。私の経験では、この抑え方が学校においても家庭においても最も効果を発揮するように感じています。体重が80キロくらいある生徒でも私一人で対応することが可能でした。また、落ち着くまで一緒に過ごす経験を通して子どもも学習するらしく、不穏な状態の時に子どもの方から後方から抱きしめてもらうことを求めてくる場面が出てきました。特に触覚防衛反応が強い場合は、背中側は過敏があまり出ない部位なので、後方から接することのほうが子どもに心理的不安を与えることがありません。

 1枚めくったp.99には,上記の①から③までが絵になっていました.右下のイラストには,「こちらが力を抜くと子どもも脱力する」の吹き出しもありました.


 文中の「家庭においても」のところで,今年,家庭で生じた出来事を,思い出しました.
 食卓の隣室のテレビのリモコンを巡って,子どもの一人と自分とで奪い合いになりました.以下,「この子」と書きます.
 この子が興奮気味に,(妻の)父と母がテレビを観ている状況に入り込み,リモコンを奪いました.自分は後方からこの子の体を制して,リモコンをはたき落とし,食べる部屋まで引きずりました.上記の①は,たまたまほぼ同じ体勢でしたが,②③はまったくできていませんでした.
 妻も介入し,何やかやありましたが,その日以降,この子からこちらに,声を掛けてくることはありません.
 同じテーブルで食事をすることも,なくなりました.週に何度か,夕食タイムには,この子を含む子らは1階の食卓で談笑し,自分はPC部屋で,お盆にのった料理を黙々と食べています.
 ②③までできていれば,あのとき解決できていたのに,というわけにもいかない状況でしたが,この子がカッとなったのと,自分のマルトリートメントとを,思い出さずにはいられなかったのでした.

*1:字形は,等号ではなく,wikipedia:ダブルハイフンに見えます.意味も,「暴力,イコール,マルトリートメント」ではなく「暴力,すなわち,マルトリートメント」となっています.暴力行為(身体的虐待)はマルトリートメントであるけれども,マルトリートメントは暴力行為を必ずしも伴わないことは,p.19の図などで確認することができます.