「さきの子よ,気分はどうなん?」
「ん? む,何が?」
「お前,口に何か入れとんか!?」
「(ごっくん)うん,お薬」
「いやいや,水なしで,噛んで飲んだな今?」
「そうやで」
「指示のない限り,薬は噛むもんとちゃうんやが…」
「効いたらええねん」
「まあそうやが」
「そういえば,むかしむかし聴いたお薬のお話」
「何それ?」
「年配の人がやな,朝ごはんを食べたあとに飲む薬をやな…」
「…」
「どんぶり鉢に全部入れて,それから飲んでたんやて!」
「どんだけあるの!?」
「ん…まあ,さすがにどんぶり鉢いっぱいではないやろけど,一粒二粒という数でもないんで,一気飲みしたんやろなその人は」
「へえ」
「健康に気をつかって,ごほっ,毎日を過ごすんやで」
「あ,パパも風邪ひいた?」