「パパ,朝ごはん食べてね」
「はいはいどうもいただきます」
「今日,調子どう?」
「ん~,万全とは言いがたいなあ.夏風邪やなこれは」
「コロナとかと違う?」
「第9波とか,報道されてるけど,かかりたくないなあ…」
「しんどい?」
「しんどさは,あんましない.まあストレスの蓄積はあるけど」
「熱は?」
「問題ないかな」
「喉に痛みがあったりする?」
「痛みはないが…引っかかりはあるなあ」
「じゃあ,パブロン飲んどく?」
「もらおか」
「それより葛根湯のほうがいいかな…」
「ん? ま,葛根湯でもええけど」
「漢方はね,食前に飲まあかんねん」
「え!? それったらまあ.えっと,コップに茶ぁあるな.んで,葛根湯は?」
「パパの届くところにあるねん.テーブルの,そこ」
「この辺の,薬とか小箱とかいろいろのとこやな.どれや…」
「手前! 銀の!」
「(箱に手をやり)これか?」
「ちゃうよ! 銀の! 包み!!」
「包み言われても分からんよぉ」
「もお! (立ち上がって薬の前に行く)これ!」
「銀の包装やな…けど葛根湯って書いてないやん」
「反対,向けてみ!」
「反対? …あっ,葛根湯って書いてある」
「葛根湯いうたら,それやからね!」
「それやからねって言うても,パパ飲まんからわからんよ…」