わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

大学生が変わる(2): 大学の状況,法学教育の事例

1月5日の続き,『大学生が変わる』の書評です.

  • 「2006年6月30日初版」であり,教育基本法改正前に出版されています.
  • 憲法と(改正前)教育基本法を重視し,現政策には否定的な立場をとっています.それは例えば『権力者といわれる人たちにだまされない世界をつくるためにも学ぶべきである』(p.222,学生の文章より.太字は引用者)という表現に代表されます.教育基本法改正の動きや,独立行政法人化を含む近年の大学政策についても然りです.
  • アンケートについて,「能力主義を認識させる*1」という恣意的な目的がなかったか? 表を見る限り,この疑問は払拭できません.
  • 憲法・法律を勉強し,各受講者(学生)のこれからの人生に活用されるといういい面を強調しすぎていて,法律(を適用すること)の限界について,言及が見当たりませんでした.

以上のような留意点がありながらも,大学教員(国公私に関わらず)にとって,学生と大学政策の実情を再確認できる良書だと思います.

*1:もっというと,「植えつける」.