わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

オスカー

オスカー―天国への旅立ちを知らせる猫

オスカー―天国への旅立ちを知らせる猫

ステアー・ハウス*1に勤務する医師David Dosaが,患者の臨終の際に必ずそばにいるという不思議な猫Oscar*2を知り,遺族へのインタビューを通じて,認知症患者にもその家族にも,そしてDr. Dosa自身にも,Oscarとステアー・ハウスにいる動物たちが大切な存在である(だった)ことを確かめていくというストーリーです.
読者は選ばない本だと思いますが,解説込みで300ページ以上ある本を読みたくない人,死なんてもっと先のことでしょという人,犬派の人,「うちの猫,最高」という人は,おそらく読まないほうがいいでしょうね.
キーワードは「猫」よりも「アルツハイマー認知症」です.それと「ターミナルケア」も.本文では「ホスピスケア」という表記がありましたが,ざっと見直した限り

「だって,ホスピスという言葉を聞くと,たいてい“ああ,末期の人のためのものだろ? がんで亡くなる人の”って片づけてしまうでしょ? だけど,うちの母はがんで死ぬわけじゃない.認知症なんです」
(略)
ホスピスケアにあたる職員たちは,死ぬという肉体的な行為に関する情報以上のものを提供する.つまり実用面と感情面の両方でガイド役を務めるのだ.病状が悪化すれば必要に応じて看護ケアをおこなうのと同時に,患者参賀できるだけ居心地よくすごせるように手を尽くす.こうしたサービスが,実際に寿命を延ばすことさえある.
(pp.176-177)

くらいで,Wikipediaに当たると,wikipedia:ターミナルケアというエントリがありました.
他に,後で思い出すのに使う項目を.

  • 2時45分テスト(pp.60-62)
  • 認知症患者の性欲(p.86)
  • サンドイッチ世代(p.108)
  • 1999年12月31日に人生エンド(p.171)
  • 栄養チューブを使うべきか(pp.192-193)
  • アルツハイマー認知症による物忘れと,それに対する家族の叱責(後に罪悪感)(pp.202-204)
  • オスカーはなぜある患者の最期にそばにいようとしなかったか(pp.205-207)
  • 片道切符(ページ失念)
  • 怒る軽度認知症患者への対応(ページ失念)
  • 認知症テスト対策(本番では意味なし)(ページ失念)

去年,自分が書いたこと.

映画「おくりびと」もそうなのですが,死について考えるというのは,“自分が死んだらどうなるか.近親縁者が自分をどのように弔ってくれるか”というよりも,“身近な死に対して自分はどう接し,乗り越え,これからも自分は生き続けていくのか”を考えることであるようです.

死を前に - わさっき

後半(日輪草と書いて「ひまわりそう」)は,はじめ,前半と関係ない出だしですが,モノやら人物やら,景色(星空)やらがリンクしてきます.人間や犬の死を見て,あるいは関わりのあった人がその死を見ることなく,毎日を生きていかなければならないことに,心を動かされたのでした.

星守る犬 - わさっき

*1:『ドーサ医師が勤務するステアー・ハウスは,アメリカでは一般に「ナーシングホーム」と呼ばれており,日本でいうところの「介護付き有料老人ホーム」にあたる.ところがステアー・ハウスの三階には重度の認知症を患う高齢者が多数入居しており,日本では「特別養護老人ホーム」にあたるともいえる』,pp.309-310.ちなみに「ステアー」は寄付者の名前.

*2:http://en.wikipedia.org/wiki/Oscar_%28cat%29と,英語版のWikipediaにエントリがあります.日本語版にはなさそうです.