柔道世界選手権の模様を,テレビで観ていました.判定は有効以上ですが,5分で決着がつかない場合には,ゴールデンスコア方式(有効以上になったらその時点で終了)の延長戦が3分あり,最終的には旗判定です*1.
最終日(昨日)ではなかったのですが,妙なシーンを見かけました.日本人選手と外国人選手による勝負の延長戦で,外国人選手が技をかけ,決まらず「待て」になったのですが,その選手が勝ったぞと言わんがばかりのアピールをしていたのです.
有効に相当しないことは,テレビで見ていて分かりますし,組んでいる当人も十分に分かっているはずです.しかしちょっとでも気を引こうと,そういうアピールをし,(テレビに映っていないので推測ですが)審判団には無視されている,そんな光景でした.
柔道の立ち技に関しては,組んでいない状態,より正確には,つり手も引き手も持っていない状態で,投げただの勝っただのというアピールは,無意味だと言わざるを得ません*2.
しかし他のスポーツに目を向けると,試合中にアピールをするのが当たり前だったりします.具体的には,サッカーです.足を使うスポーツにもかかわらず,ボールがラインを超えるだとか,ゴール間際の攻防で,双方のチームの選手が手を挙げているのが,目につきます.
長いこと,あれの意味が分かっていなかったのですが,この機会に,Webで調べてみました.
審判へは「ファール(オフサイドを含む)」や「(ラインを割ったときには)マイボール」,「今のボールは良かったよ」とか「こっちに出せ」といった味方の指示,そのほか「反則の自己申告」という意味があるとのこと.これだけ意味があると,本当に審判に伝わるのか,よく分かりませんね.まあ審判は,そういったジェスチャーではなく,ボールを中心に各選手をよく見て,常時判断をしているということですか.
話を半分柔道に戻して,大学の中でも,相手にその行為や意図を理解してもらえるよう,適切にアピールすることの重要性を感じることがあります.試験やレポートの答案,研究室の学生の行動,ではありません.授業で,自分の発言が,学生にどれだけきちんと伝わっているかです.
90分の発言中に,受講者である学生を審判に見立てて,こちらはどれだけ有効・技あり・一本に相当する発話やデモンストレーションをしているのか.また反則行為,教育的指導になるような言動はしていないか….
「脱線」は,授業の本論に関連する内容であれば,場外際の技に対応しますが,昨年度後期,今年度前期に積極的に行った,授業と直接関係のない「余談」に突入するのは,かけ逃げみたいなものです.
まあ,数十人も審判がいる状況で,とりあえずその半数が片腕を挙げ*3,一本と認めてくれるような“技”を見せるというのは,簡単ではありません.いやちょっと待て,教員が授業で話すのを「技をかける」とすると,「技をかけられる相手」って何になるんだ….