わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

0×3と3×0は違う

http://twitter.com/takehikom/status/2795989052170240:twitter

面白いなあ.
学習指導要領に目を通してみるか,と探したら,小学校学習指導要領解説:文部科学省から取得できる算数(2)第3章〜第4章の中の,第3学年で,0×3と3×0の違いを説明していました.

「内容の取扱い」の(4)では,「乗数又は被乗数が0の場合の計算についても取り扱うものとする」と示している。例えば,的当てで得点を競うゲームなどで,0点のところに3回入れば,0×3と表すことができる。3点のところに一度も入らなければ,3×0と表すことができる。0×3の答えは,実際の場面の意味から考えたり,乗法の意味に戻って0+0+0=0と求めたりする。また3×0の答えは,具体的な場面から0と考えたり,乗法のきまりを使って3×3=9,3×2=6,3×1=3と並べると積が3ずつ減っていることから,3×0=0と求めることができることに気付くようにする。また,こうした0の乗法は,30 × 86 や54 × 60 のような計算の場合にも活用される。
(p.107)

もちろん,「と表すことができる」であって「と表さなければならない」ではないのだから,逆の書き方だっていいじゃないかと言うことは可能です.そう主張する人は,それで統一すればいいんじゃないでしょうか.私は,結論は同じでも見せ方次第で分かりやすくも分かりにくくもなり,分かりやすくする手段の一つが「標準的なものを採用すること」だと,プレゼン指導を通じて強く感じているので,乗算の立式は

乗法は,一つ分の大きさが決まっているときに,その幾つ分かに当たる大きさを求める場合に用いられる。つまり,同じ数を何回も加える加法,すなわち累加の簡潔な表現として乗法による表現が用いられることになる。また,累加としての乗法の意味は,幾つ分といったのを何倍とみて,一つの大きさの何倍かに当たる大きさを求めることであるといえる。
(p.87)

という「標準」に基づいて行うこと,したがって例の画像については5×3=15という式をバツにするのに賛成です.
第2学年の記述で,少々気がかりなことがあります.

式に表す指導に際しては,「1袋に5個ずつ入ったみかんの4袋分」というような文章による表現,○やテープなどの図を用いた表現,具体物を用いた表現などと関連付けながら,式の意味の理解を深めるとともに,記号×を用いた式の簡潔さや明瞭さを味わうことができるようにする。
(p.98)

この例をアレンジして,「みかんの入った袋が4つあります.どの袋にも,5個のみかんが入っています.みかんは全部でいくつでしょう?」という問題も考えさせることは,学習指導要領に例示されていません.この問題の場合,数字を順に取り出して,乗算にして「4×5=20」と書いたくなるけど,これがダメなのよね.そしてそれが,元の画像でやっていることなのですね.