「ふう,だいたい食たかな」
「これも食べてや」
「ああ,枝豆か…なんかな,枝豆は自分にとって,デザートみたいなもんやねん」
「なにそれ」
「手ぇで剥かんとあかんからな」
「へえ.そうそう,すえの子ちゃんね,すごいんやで」
「何かしおったんか,枝豆で」
「せやねん」
「枝豆で!?」
「うん,口に,枝豆を入れて,外の皮だけ取り出すんやで,大人がやってるみたいに!!」
「ほお」
「食べたい一心やねんな」
「そういうもんなんか…そういえば今日は,すえの子を連れて,出かけたんやったっけ?」
「せやねん,昔お世話になった人のところへな」
「すえの子,そこで邪魔せなんだか?」
「大丈夫やったよ.賢く遊んでたし」
「そっか」
「あそこのおうち,お世話になった人の初孫が,すえの子ちゃんより1か月先に生まれて」
「えっと,てことは,その子は今,1歳児になるんか?」
「せやねん」
「たかが1か月なあ」
「されどやで.すえの子ちゃんのほうが,体格すごいねん」
「勝っとんかいな?」
「そやで! 腕も足も,顔つきも,背丈も,この子すごいで!!」
「ふむ…うちの中では最年少やから,ピンと来んのやが」
「それでね,そこでお昼ごはんもろてんけど…」
「好き嫌いなかったか?」
「あるもないも,もお何でも食べる食べる!」
「そうきたか.目に浮かぶなあ」
「あっちの人も,びっくりしててんから」
「へえ.何がちゃうんかなあ」
「やっぱりきょうだいの数やないかな」
「すえの子は,4人きょうだいの末っ子やから,たくましなるってか」
「せやね」
「とか言うてたら,すえの子が来たぞ.おーい,お前の話をしてたんやけど,って無視かい」
「すえの子ちゃん,どうしたの?」
「えあ〜」
「枝豆,食いたいんかい?」
「せやね.一つ,テーブル越しにあげちゃげてくれる?」