自宅の「かど」が見えたときには,10時を,10分ほど過ぎていました…という話の続きです.
軽いジャブからいきましょう.大通りを曲がって少し細い道を走る途中で,後部の子どもらに向けて,「家の『かど』のところな,4方向どこから来ても分かるから,あっちのおばあちゃん,そこに立って,待ち受けてたこともあってんけどな.まあ今日は,お外で待つっちゅうこともないやろ…」と話してから,続けて「おった!!」と叫びました.年を追うごとに小さくなっていく体ですが,視線の鋭さは,変わりませんでした.
じゃまにならないところに車を置き,実家へ.牛乳瓶ではなく,紙パックのフルーツジュースにストローを差して頂戴し,紙にボールペンで書かれた「今日の予定」に目をやりました.
「ロイヤルで昼食」「堺東で買い物とカラオケ」が,大まかな行き先となりました.妻が「大阪市内の桜を見たい」と主張し,先週,県内を連れ回されたというさきの子・あとの子が猛反対するも,昼食のあとに行くということで,採用されました.
「ロイヤル」というのは,大阪・中之島にある,リーガロイヤルホテルのことです.ここで泊まったことはありませんが,実家の母が働き盛りのとき,兄・自分とともに,このホテルに入って,地下の商品を見たり一品ものを食べたりしたことがありました.
中学生になったさきの子・あとの子とともに,楽しもうという算段のようです.
道中と駐車場については特に問題ありませんでした.昼食タイムより前に到着し,あるレストランの前で,少し待ちました.ソファに人が座っているけれど,列を作っているわけでもありません.時間になると,受付の店員が呼び出しを始めました.予約を優先し,予約なしの客には,顔を見て,「ただいま満席でございまして」と言って返していました.
そこは避けることにし,エレベーターで28階までのぼってから,さらにエスカレーターで上がった先にある日本料理で,いただくことにしました.
実家の母を入れて5名でテーブルひとつというのはできず,母・さきの子・あとの子でテーブルひとつ,妻と自分でもうひとつとなりました.互いに顔は見えますが,テーブルのあいだに柱と通路があり,向こうの会話は聞こえません.あとで見せてもらった,実家の母のカメラで,母を含む3人がそれぞれ,うまく写っていました.
同じコースを5つ注文しました.
ふだん食べることのできない食材や料理を堪能し,デザートが来たところで,伝票も,こちらのテーブルに来ました.「自分が主人ってことかな」と思い,金額を確認し,駐車券を挟み込みました.
妻は「今日はパパ,払ろちゃってね」と言ってきました.実家の母が,食べるところに連れてくると,母が払うのが当たり前になっているのですが,今回くらいは…というやつです.静かに,首を縦に振りました.
そんな頭に,クリーンヒットを食らったのが,みなで立ち上がった直後のことでした.伝票を手に,「支払うよ」と言うと,さきの子が「払ってきた」と言うのです.
そういえばデザートのあと,さきの子・あとの子が,席を立っていました.てっきりトイレかと思っていたら,そのときに,母は財布を持たせ,伝票なしで(テーブルを伝えて)支払っていたというわけです.
駐車場の時間割引については,レジで見せればいいというおまけ付きです.そこまで言われれば,自分の脳内はノックダウンです.
平静を装いながら,ごちそうさまと言い,エスカレーターを降りました.
「大阪市内の桜」は,「さくらのみや」で知られる,毛馬桜之宮公園にしました.さきの子とあとの子は,しっかり昼寝です.南北に長い公園には入らず,その東側の道路をゆっくり,北上し,阪神高速長柄入口から入って,堺まで行きました.