わさっきhb

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正信偈は音ゲー

 最前列,通路の左側の座席について待っていると,白木位牌がやって来ました.
 浄土真宗なので戒名ではなく「法名」です.浄土真宗でスタンダードな,「釈尼」と漢字2文字で構成され,うち1文字は母の名前の漢字です.
 父の法名*1と対比しながら,思いをはせていると,喪主を務める兄が,自分の名前を呼んでいるのに気づきました.兄は冊子を持っていました.勤行集です.

 きれいなのが2冊と,古めかしいのが1冊です.古めかしい方を選ぶと,背表紙には母の筆跡で,4人で住んでいたときの住所と父のフルネームが書かれていました.
 通夜開式のアナウンスがあって,照明が弱くなりました.大きめの2つのに火がともり,再び明るくなって,それから,ご導師様の入場です.
 ご導師様のおっしゃるイントロは,勤行集より見つけることができません.「帰命~無量~」*2を耳にし,冊子を開きました.
 正信偈wikipedia:正信念仏偈)です.親類の葬儀で読んだとき以来です.あのとき勤行集を持参し,自分に1冊を貸し出したのは,もちろん,母です.
 読むにあたり,正信偈音ゲーと,割り切っています.前半は七言を「あーあーあーあーあーあーあーー𝄾」と唱え,4拍子2小節が基本です.たまに「あーあー」ではなく「あーーあ」になることもありますが,そういうときは,読むべき漢字のそばに小さく「引」と書かれています.七言の最後の文字が2拍ですが,例外もあります.
 ご導師様の声明がメインであり,兄や自分や親族は,一緒に読むことになります.先走ってはいけませんし,ご導師様よりも音量を上げるべきでもありません.出だしの「帰命無量寿如来」のほか,途中でいくつか,ご導師様だけが読む行もあります.
 「往生安楽国」*3で,自分らが読むのはおしまいです.フルコンボやAAAを,目指すものではありません.母が健在だったときも,亡骸になっても,のちのち骨だけになり納骨されても,こういった場で読むのは,正信偈なのです.
 勤行集は,自分のポーチに入れ,初七日が済んでから,兄に渡しました.
 「父のフルネームが書かれていました」と書きましたが,父がこれを開いて読んだ姿を,見た覚えはありません.

*1:検索すると,「浄土真宗は白木位牌を使わない」「使うこともある」といった記述が見つかりますが,父のときにも白木位牌を見かけました.ところでAmazonで手に入るのですね:[asin:B0CVQKP3LT]

*2:https://xn--vuqrjl75e.com/02kimyomuryo.html

*3:https://xn--vuqrjl75e.com/55ganni.html