わさっきhb

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レポート課題でプレゼンテーション

単独担当科目の「情報セキュリティ」は,例年,レポート課題(10点満点が2回)と試験(80点満点)で成績評価をしています.レポート課題の第1回は,単一換字暗号の解読問題.さて第2回は,何をするか頭を悩ませながら,今年は以下のとおりとしました.

  • 情報セキュリティの中で,自分でテーマを決めてとりまとめること
  • 3分でプレゼンテーションできる形式として,最終的に提出すること

調査課題といえば文字が基本,パソコン使うならWord形式…という常識を打ち破ることを,試みてみました.
情報の取りまとめはWord形式に限らなくてもいいのでは,という思いが前々からありました.実は私自身の研究でも,まずPowerPoint化して,学生とのミーティングで提示して反応をうかがい,その後,学会発表の原稿に変換することを,ちょくちょくやっています.それと,日本語・空間・数式・コード - わさっきは,授業をしていて,あるいは学生に答案を出させたいときに,いつも頭の片隅に置いています*1
とはいうものの,全員にプレゼンテーションしてもらうわけにはいきません.その時間をとると,本題(講義)が圧迫されます.また,内容の指導は全提出物に対してできるとしても,口頭発表の指導までは手が回りません.
そこで,最終的に3〜5名程度にプレゼンテーションしてもらうことにして,提出を3段階,設けました.

  • 第1段階では,概要レベルとします.大まかな内容のほか,タイトル,どんな人に知ってもらいたいかにも,注意してもらいます.
  • 第2段階が,多くの学生にとって最終提出です.数名をこちらが選んで,「学生の前でプレゼンテーションしてくれませんか?」と打診します.第2段階の提出時に,プレゼンテーションの可否を書いてよいこととしました.
  • 第3段階は,上記の第2段階後にこちらからメールを出し,「プレゼンテーションします」の連絡があった学生が,前日に発表用ファイルを送ります.

なお,第1段階提出者それぞれには,第2段階提出へのアドバイス(一人につき3行程度の「寸評」)だけでなく,「テーマ」と「完成への期待」でそれぞれA〜Cの評価をつけて返信しました.テーマというのは,選定したテーマが,他の学生と競合していなければ基本的にAで,競合度合いに応じてB,Cにします.ただし競合していないいわゆる「レアもの」の内容でも,現在の技術動向から見て適切と思えないものについては,Bにしています.完成への期待は字のとおり,内容に目を通した限りのこちらの印象です.
第2段階の提出期限後は,まず「プレゼンテーションを希望しない」という連絡のなかった提出内容をすべて読み,発表候補学生を数名,選出しました.基準は,最終発表までの準備コストの小さいもの,具体的には「こちらからの寸評をもとに改善して,学生の前で発表し,聞く側は理解できるような内容になりやすいか」です.技術的な高さや,テーマのレア度,競合状況*2は,考慮しないことにしました.とくに,内容は充実しているけれど,3分で収まりそうになく,早口・早回しにしても聴衆が消化不良を起こすだろうなと感じたものについては,早い段階で候補から外しました.
発表候補学生に「プレゼンテーションしてくれますか?」という打診と,最終提出までのアドバイスを書いたメールを送りまして,何人かからは期限までに返事がなかったものの*3,「プレゼンします」の学生からはみな,前日までに最終版を受け取りました*4
さて当日.5人には,発表しやすいよう部屋の前方に集まってもらいました.ワイヤレスマウス兼レーザポインタの説明をし,使いにくければPCの上下矢印を使用してもよいことを伝えました.発表用PCは普段の授業用PCで,それと別に,ノートPCを取り出してzjsを表示させました.
1人目の発表が終わったときに,部屋から拍手の音も少し鳴りましたが,最後にまとめて行うこととしました.
一応の成功を収めたのではないかと思います.上述の「授業メモ」で,聞いた人と,発表した人から,勉強になったという感想がありました.
実施にあたり,いくつか,迷うことはありました.各学生の答案を,どこまでオープンにするかです.最初の課題提示の際には何も書きませんでした.あとで「一覧にしてお見せします」という“後出し”は,プロトコルというものを…「第2回レポート」のプロトコルを設計し,実施するのは自分なのですが,いや自分だからこそ…授業で取り上げ解説している者として,やってはいけないと考え,結局,発表の直前まで氏名と標題を受講者に提示するのは避け,それも口頭のみとし,Webには,標題を含めて掲載しないことにしました.
もう一つは,各段階の提出者の採点方法です.これは最初に「第1段階までなら6点満点」「第2段階までなら9点満点」「人前でプレゼンしたら10点満点」とアナウンスしました.全員が発表できない(満点をとれない)のを前提としたレポート課題であることには,自分としても始終,引っかかりを持っていましたが,ともあれ今年度はこれで進めることにします.配点も,レポート課題の第1回,第2回の負荷が大幅に違うのに同じというのは,次年度以降見直したいものです.
それと,提出方法ですが,独自に作ったメールアドレスへ送ることとしました*5.fmlにより,各受信メールに通し番号が付いて,自分の普段のメールアドレスに配送されます.管理には,その番号を控えていればいいので,楽になりました.学生への返信にも,Ccでそのメールアドレスをつけました.おおむね良かったのですが,たまにSubjectにそのメーリングリストのラベルがついたり,Thunderbird+AutoCCアドオンで,自分のアドレスにCcするという設定を外し忘れて,メーリングリストよりもそのCcのほうが優先されてしまったのは,手作業による失態というやつです.

*1:といいつつ,今期の講義で毎回提出してもらった「授業メモ」は,一度だけ計算問題をやってもらいましたが,あとは択一式か単純な記述式ばかりでしたね….

*2:2人が,単独でみればともに良い内容だけど,同じテーマなので,一方を落とす,ということはしませんでした.

*3:その場合には,特にペナルティを科すことなく,第2段階の内容で評価します.これは,この課題を最初に提示したときにも,書いていました.

*4:これについても,もし提出がなければ,第2段階の内容で発表してもらうことを通知していました.

*5:Subversionで所定のディレクトリにリポジトリを作ってもらい,こちらで機械的にリビジョンを取得できるようにすることも検討しましたが,そこに時間をかけるべきではないと考え,断念しました.