わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

とはゼミ,始動

実施要領

  • 準備
    • A4で1枚の「〜とは」の文書を作成します.
    • お題はあらかじめ教員が決めて与えます.
    • 本文は「(お題)とは」から始めます.
    • 前半は,「(お題)とは」が分かる内容にします.ここでは客観性を重視します.Wikipediaなどを引き写してもかまいませんが,複数の出典を使用することとします.ただし,出典そのものは自分で取っておき,文書には記載しません.
    • 後半は「そのお題に対して,自分はどうなのか」and/or「そのお題で文章を書いて,読み手に何を伝えたいか」を書きます.主観性・主体性を重視します.
    • 書き言葉なので「である体」とします.
  • 1回の発表の流れ
    • 発表前日に教員へメールで送ります.教員は,出席者数分の印刷をしておきます.
    • 発表では,作成者が読み上げます.「である体」のところは「です体」に変換します.聞きやすいよう,言葉を少し変更してもよいこととしますが,後戻りなど,文単位の順序変更はしません.
    • 発表後,主に教員が,日本語表現,取り上げる内容,話す際の注意点などについてアドバイスします.他の出席学生から,質問や意見を言う時間も設けます.
    • そのアドバイスをもとに修正版を作り,教員にメールで送ります.
    • 発表前後のいずれに対しても,提出したものについて,教員は手入れや再修正の指示をしません.また提出物は非公開とします.
    • 「1回」の所要時間の目安は,準備に2時間,ゼミ出席で1時間半,修正で30分,合計4時間です.

参加者

学科の1〜2年生に,自主演習として参加を呼びかけました.1年生1名から連絡があり,メールのやりとりと面談の結果,ではがんばりましょうとなりました.
ちなみに昨年,一昨年も,後期に,教員提案型の自主演習を企画しました.Cのプログラミングに関するもので,2年生に限定していました.前々年度の活動成果はHTML化させ,公開していますが,前年度は残念ながら不合格としました.
とはゼミが教員1人学生1人というのは少なすぎるのですが,就職対策として,あるいは物事を客観的にも主観的にも捉えて表現できるようになるための練習として,研究室のM1と3年に参加してもらいました.
日程を決める面談を,1年生,3年生の別々に実施して,一つしかない空きコマを見つけました.なのですが,その曜日時限は,M1学生が授業と重なっていて,出席できません.ともあれ面談を行い,参加するか考えてもらった結果,「文書を作るが,ゼミ出席と口頭発表はしない」という形で,入ってもらうことになりました.

呼びかけ文

後期の初日,10月1日にリリースし,授業の中でもほんの少しずつ時間をとって説明しました.

学科1〜2年生の皆さんへ:

自主演習「『とは』から始めるコミュニケーション」について

皆さんにとってはまだ先かもしれませんが,テレビ番組や,先輩の話で,就職活動の大変さを耳にしていることでしょう.内定を得るには,面接で「この学生に来てほしい」と思ってもらえるような,言葉のやりとりが不可欠です.就職対策に限らず,授業の答案作成や,先生に質問するときなど,言葉のやりとり(コミュニケーション)は常に求められています.
たくさん会話をすれば,コミュニケーション能力が上がる,というものではありません.他愛もない「おしゃべり」と,就職活動の面接とで,求められること,自分のすべき行動が異なるからです.おしゃべりなら,聞く側が少々分からなくても会話が成り立ちますが,就職活動を含むビジネスの場では,言葉の一つ一つから発言の流れまで,厳しくチェックされます.
自分の発することを意図通りに理解してもらい,何らかの言葉の意味を共有する,そのためのキーワードは,「〜とは」です.「なになにとはこれこれのことで〜」と口をついて言えるよう,練習を重ねることで,コミュニケーションの媒体である日本語と,日本語に限らない手段を含むコミュニケーションについて,豊かな知識と確かな技能を持つことができるのではないかと考え,自主演習を企画しました.
以下の目標・方針で,ゼミ形式の勉強会を実施します.

  1. 物事を適切な日本語(書き言葉・話し言葉)で説明できる能力を養います.
  2. 各参加者が情報を持ち寄り,小さな負担で幅広い知識を獲得します.
  3. コミュニケーションの難しさと楽しさを学びます.

1回のゼミの進め方は次の通りです.あらかじめ,各参加者は与えられた「お題」に対して,それを説明するための文章を作っておきます.ゼミでは順にその内容を報告します.報告ごとに,内容の分かりやすさや表現方法について,教員や他の参加者が質問・提案をします.ゼミ終了後に,文章を修正し,教員に提出します.
このように,事前準備,口頭発表と,参加者の相互チェックを通じて,コミュニケーションの理解を深めます.十分な時間をかけて取り組んで成果物を完成させ,所定の事務手続きをした学生には,(略)自主演習として1単位が与えられます.
内容に関心のある人は(略)

こちらも準備

上のとおり方針を軽く決めたら,次に手配するのは「お手本」です.
「ゼミとは」の文書を作って,面談や,研究室ミーティング時に渡しました.
実施要領は,口頭のみとしました.ゼミをしながら実験的な試みを取り入れ,変えていきたいというのが大きいです.文書作成者と口頭発表者を別にしてみることは,考慮しています*1.文書の「いい表現」と「気になる表現」に線を引かせ,あとで問うことで,もらった資料にメモをする習慣をつけさせたいとも考えています.

初回状況

先週金曜の3時限が初回ゼミでした.私が「ゼミとは」で話し方の見本を行い,他の学生には,上に書いたプロセスで,やってみました.
初回にもかかわらず,文章の質はかなり高かったと感じています.ただよく見て,話すのを聞いてみると,表記の不統一や,このお題でこの観点が入っていないのはもったいないとかいったものまで,さまざま見つかりました.
聞いている学生は,もらった書類(他の人の作った文章)に書き込みをしている姿が,あまり見えませんでした.続く2コマの3年ゼミでは,発表中も質疑中も,教員*2はいろいろ書き込んでいます.この意義と手法については,日を改めて,当雑記でエントリにしたいと考えています.
「例示」と「列挙」の表現に対して,再考を促す指摘をしました.例えば,

  • 概念Aと,他の概念B,C,…が上下関係(あるいは包含関係)にあるのか?
  • 概念Aに,事例B,C,…が所属している(集合の∈の関係にある)のか?

の区別です.また,句点がないために,事例BとCが,文頭の概念Aに属するように見えてしまうが,意味を考えれば,文の途中に出現する概念Dに属するというものも,紛らわしい例として指摘しました.
主要なまずそうなところは私がさらってから,他の学生にも見てもらいました.初回であり,また質問の仕方について特に言っていないので,ここでの発言は,ごくわずかでした.
ただ,1年生の発表をくまなくチェックしてから,3年生に「おかしなところがあるので指摘してあげてください」と時間を渡してみました.期待する答えが出なかったので,こちらでさくっと言うと,「ああ,そうか」という反応でした.とはいうものの,ある3年生が出した疑問点は,なるほどそれもそうですねだったので,一般化させて「文頭に同じ表現が連続することは,避けましょう」というアドバイスに変換して,みなさんに伝えました.

*1:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20070603/1180820572という形で実施したこともあります.

*2:特に俺!