先月,2回に分けて,1年ゼミで輪講を実施しました(1年ゼミで輪講, ダメ情報の見分けかた).
学生に言った中で,覚えていることを,書き出してみました.
- 情報を受け取る立場だけでなく,情報を発する立場にもいるということを忘れずに.あなたも,もちろん私も.
- 言動をした「人」への批判と,言動の内側にある「人や物でない対象」…例えばプライドなんか…への批判は,別ととらえてください.
- 「最近の若い者は」と言われて,「あ,自分のことを言われているのか」という意識は持つようにしてください.この意識がない状態を,鈍感といいます.ただしそれだけでなく,「最近の若い者は」から始まって取り上げられる物事といいますかキーワードについて,自分より上の人はどう学んだか,下の人はどう学んでいくだろうか,という視点を持って,時間の流れを,頭の中で思い描いてみてください.
- みなさんが研究室に入ってからのことですが,研究の報告に対して先生が「意味がないよ」とおっしゃるかもしれません.それは課題,すなわち研究として何を解くべきなのかというのと,手法,言い換えると解くためのやり方が,ミスマッチを起こしていて,そのようなプロセスで得られた成果については「意味がないよ」とおっしゃっるわけです.多くの場合,本当に意味がないわけではなく,課題と手法を微調整することで,まあ意味のある結果をアピールできます.
- 工学の問題解決では,「効率的」「効果的」の2点が問われます.効果的というのは,それまでできなかったことが,できるようになることを言います.それに対して効率的とは,従来でもできると言えばできるんだけど,提案する方法では,例えば,するための時間だとかコストだとかが小さくなる,なんて状態のことを言います.「効率的」は「定量的」と,「効果的」は「定性的」と関連があります.近年では,「量的研究」「質的研究」という分け方もあり,本文の「質的」という表現はおそらくこれを背景としているのでしょうね.
- 内容に入る前にすまんが朗読*1についてですが,つっかえながら読んでいるように思えます.事前に一人で一度,読み上げておくと,どこで引っかかりやすいかが分かり,本番の発表で苦労を減らせます.技能としては,口で朗読しながら,目は数文字先を読んでいるというマルチタスクができるようになればいいのですけどね.英語学習では,シャドウイングというのもあります.
おまけ:別の日の,研究室前期ゼミより.
- 十分に企画を練った上での発表で,こちらが「こういうのはどうですか?」と質問したときにみなさんが「ああそうか」という反応をするのでは,企画は失敗なんですよ.「こういうのはどうですか?」と質問したときに,「実はそれも考えていまして」から始まり,班の中での検討結果を言えるよう,情報の集約と取捨選択を,入念にしておくことが,準備作業には含まれるのです.