わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

work for

先月の研究室旅行*1での,夕食時の会話から始まります.ある卒業生が,社内研修で英語を勉強していて,苦労しているとのこと.自己紹介を英語でするにあたり,勤続年数について「It takes twenty years to work ...」と下書きしたら,それは間違いと言われたというのです.「ありゃ,それは大変だねえ」と軽く相づちを打ちながら,頭の中では別のことを考えていました.

  • It takes twenty years to work for this company.

  • I have worked for this company for twenty years.

という文で,比較してみましょう.It takesのほうは,「この会社で働いている!」と実感できるようになるのに,20年を要すると解釈できます.それまでは「働いている」状態ではない,とも言えます.
後者は,「この会社に勤務して20年になる」のもっとも自然な表現だと思います.継続の意味の現在完了形ですので,入社日も,3年目にささいなミスで関係者に迷惑をかけた日のことも,7年目に社長から表彰されたなんてときも,十数年に渡って職務を手厚くサポートしてくれた上司が定年退職を迎え仕事を引き継いだときだって,いずれも「働いている」わけです.
とはいえ後者の文にも,将棋でいう「紛れ」のようなものがあります.現在完了形でいいのか,それと,workに続ける前置詞はforでいいのかです.時制については,次のページの「ベストアンサー」で決まり,でしょう.

workのあとの前置詞は,英語でのディスカッションを見つけました.

最初の回答者,Mister Micawberのものが,的確に見えます.自分なりに要約すると,「work with」と書けば,そこの従業員ではなく,その企業と提携して仕事をしているという意味になります.「work for」は,その企業が雇用していることが伝わります.「work at」の場合,直後には企業名ではなく,部署や場所を書きます.
比較のために自分で作ってみた文でも,20年間,一つの仕事場で働いていたなら,work atとできるわけですが,そういう人生というのはなかなか送れないもので,やっぱりwork forでしょう.
ところで本日は4月1日です.一つ,明かしておきますと,卒業生が「It takes twenty years to work ...」と書いたのはウソです.うちの学部,この4月からの入学生は17期生です.後ろにウソをもう一つくらい,入れておくことにします.


頭の中で考えていたのは,2文の比較というよりは,国際会議の原稿のこと,それと,カバンの中に入れていた新書です:

数日たってから,読み終えました.workを使った文例に,次のものがありました.

(DANGER) My company is growing steadily.
私の会社は着実に業績を伸ばしています。

(ネイティブはこう言う) The company I work for is growing steadily.
弊社は着実に業績を伸ばしています。
(p.18)

直後に解説がありまして,my companyでは「自分が所有する会社」なのか「自分が所属する会社=弊社」なのか区別がつかない,でもthe company I work forとすれば「弊社」になる…なるほどです.
ほかにも,英語表現の要注意なところや使いどころを,拾い上げてみました.

  • p.45: She puts out a lot.は「彼女は生産性が高い」.She puts out.にすると卑猥な文に.
  • p.47: John wrote me up.は「ジョンは私に手紙を書き上げた」ではなく「ジョンが私のことを書き立てた」.
  • p.71: I was committed.では「精神病院に入れられた」と解釈されることも.「オレは本気だ」はI was really committed.
  • p.78: I need to reconsider my career.では「キャリアを考え直す」→「自殺を考える」.
  • p.89: in front of the busは「バスの前」.「バスの前の方」はin the front of the bus
  • p.116: ワイシャツはY-shirtではなくdress shirt*2
  • p.123: パーティで,服を褒めようとしてI like your dressing.と言うと,「あなたのドレッシングが好きです」になってしまう.
  • p.128: This time, I hope we learn a lot.と言うと「前回と違って」というニュアンスが入る.
  • pp.146-147: Could you ...?で頼まれたときに,I could.と答えると「やれと言うならやるよ」になる.「もちろんいいよ」はNo problem.
  • p.180: 「私を含め,…」は..., myself included. 自分自身の意見であり,なおかつ一般論を言うことができる.

(最終更新日時:Mon Apr 9 05:52:36 2012ごろ.「話者」を取り除きました)

*1:現地集合現地解散.

*2:英辞郎には「ワイシャツ〔スーツとともに着る〕」とある.